労働問題
はじめに |
1.労働問題全般 |
2.未払い賃金 |
3.解雇 |
4.整理解雇 |
5.懲戒解雇 |
6.雇止め |
突然会社から解雇の通知を受けた...
<はじめに>
賃金を支払ってもらえない...など
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まず、労働に関する問題の数多くは、大きく分けて
1.労働問題全般
@ 未払い賃金
A 解雇
の2通りです。
@ については、サービス残業や、給料が支払われない等、働いたのにその対価を会社が支払ってくれないという問題です。
A については、いきなり辞めろと言われた、契約社員において契約を次回更新しないと言われた等、不当な取扱いを受けたという問題です。
また、解雇については、
@. 整理解雇
A. 懲戒解雇
B. 雇止め
の3つほどに分類させて頂き、御説明致します。
<消滅時効について>
退職手当以外の賃金→2年
退職手当→5年
となっており、一般の債権より短いため早急に請求していくべきである。
遅延損害金については、法定利率 3%を請求できる。
裁判で争う場合は、それに加え付加金といって法定の未払い額と同額を請求でき(労働基準法114条、37条)、判決確定の日の翌日から法定利率年 3%の遅延損害金を請求できる。
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<労働時間について>
2.未払い賃金
【原 則】
@ 1日8時間、1週40時間を超えてはならない(労働基準法32条)。
A 休日は、原則として、週1回以上与えなければならない(労働基準法35条)。
B 労働時間は、原則として、実労働時間で算出する。
【例 外】
@ 法定労働時間の例外
法定労働時間(1日8時間、1週40時間)に対する例外は、残業(労働基準法36条)と変形労働時間制。
A 休日の例外
法定休日に労働させることもできる(労働基準法36条)。
B 実労働時間による算定の例外
みなし労働時間制
※ 労働時間とは、使用者の指揮命令下で、労働力を提供した時間をいう。
したがって、実作業に従事している時間のみならず、作業の準備や後処理を行っている時間、待機している時間も実労働時間である。
(例)私は、以前長距離トラックドライバーとして働いていましたが、長距離トラックの仕事は、寝ずに走り続ける、寝る時間があったら高速道路に乗らず、下道を走る、でした。
そんな場合において、究極な睡魔が襲い、このまま走り続けると事故を起こしてしまうといった時の仮眠は、この実労働時間に含まれると思われます。
<残業代について>
@. 割増率
法外残業(時間外労働) 25%以上
休日労働 35%以上
深夜労働(午後10時〜午前5時) 25%以上
※ 時間外、休日労働が深夜に及んだときは、合計した割増率となる。
例えば時間外労働が深夜労働にもなる場合、割増率は50%以上となる。
[平成22年4月1日改正点]
使用者が一箇月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働については通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法37条1項但書、3項)となりましたが、これは以下記載の中小企業には適用されません。
主として営む事業の種類
事業の規模(事業主単位で判断)
@ 以下のA〜C以外の業種
資本金の額又は出資総額が3億円以下
常時使用する労働者数が300人以下
A 卸売業
資本金の額又は出資総額が1億円以下
又は
常時使用する労働者数が100人以下
B サービス業
資本金の額又は出資総額が5千万円以下
又は
常時使用する労働者数が100人以下
C 小売業
資本金の額又は出資総額が5千万円以下
又は
常時使用する労働者数が50人以下
A. 所定賃金から除外される賃金
割増賃金算定の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、その他命令で定める賃金は、算入しない(労働基準法37条4項)。
命令(労働基準法施行規則21条)は、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金を定めている。
B. 固定残業制度(定額払い)
現実の時間外労働により算出される割増賃金額が固定残業給の額を超えた場合、固定残業給との差額賃金を請求できる。
(関西ソニー販売事件・大阪地裁判決昭和63.10.26、三好屋商店事件・東京地裁判決昭和63.5.27、三晃印刷事件・東京地裁判決平成9.3.13、日本コンベンションサービス事件・大阪高裁判決平成12.6.30)
C. 年棒制
割増賃金の請求権が発生しないのは、適法なみなし時間制がとられ、かつ、みなし時間が8時間以内とされている場合に限られ、これに該当しない場合は、労働基準法の原則どおり実労働時間で算出される割増賃金請求権がある。
(創栄コンサルタント事件・大阪高裁判決平成14.11.26、システムワークス事件・大阪地裁判決平成14.10.25)
D. オール歩合給
タクシー会社等、オール歩合給制についても割増賃金請求は認められる。(高知県観光事件最高裁判決平成6.6.13)
<残業代の計算方法>
計算式(月給制の場合)
@. 時間外・休日労働
「通常の労働時間又は労働日の賃金」(所定賃金)÷月間所定労働時間×(1+割増率(0.25又は0.35))×時間外(休日)労働時間数
A. 深夜労働(残業の場合)
所定賃金÷月間所定労働時間×(1+割増率(0.25+0.25))×深夜労働時間数
<対処法>
残業代の請求等、未払い賃金の請求は、証拠がカギとなるので、
@ タイムカードのコピー
A 日報のコピー等、
なるべく数多く証拠を集めることです。
もし、これら証拠を集められない場合は、
B 日々の日記に始業時間、就業時間を付けることでも疎明できる場合があるので、マメに日記はつけましょう。
これらを日々行っていくことが大切であり、これらを使って内容証明郵便にて未払い賃金の請求をして行きましょう。
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解雇とは、使用者による一方的な労働契約の解約である。労働者の承諾は要件ではない。
3.解雇
労働契約法(平成20年3月1日施行)は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
(16条)と規定し、それまでの判例で認められてきた解雇権濫用の法理を成文化した。
<個別法令による解雇制限>
(ア) 業務上の傷病による休業期間及びその後の30日間は、解雇できない。(労働基準法19条)
【例外】
@. 労働基準法81条に基づいて打切り補償が行われた場合
A. 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった(労働基準監督署長の認定必要)
(イ) 産休産後の女性が労働基準法65条によって休業する期間及びその後の30日間は、解雇できない。
ただし、例外として天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(労働基準監督署長の認定必要)
(ウ) 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇をしてはならない。(労働基準法3条)
(エ) 労働者が労働基準法等違反の事実を労働基準監督署や労働基準監督官に申告したこと(労働基準法104条2項)、労働者が都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、またはあっせんを申請したこと(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条3項、5条2項)、女性労働者が都道府県労働局長に援助を求めたこと、又は調停を申請したこと(男女雇用機会均等法13条2項、14条2項)を理由として解雇してはならない。
(オ) 労働組合の組合員であること、労働組合に入り、結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたことを理由とする解雇は、不当労働行為になり(労働組合法7条1項)、また、憲法28条の団結権等の保障を内容とする公序良俗に違反し、無効である。
(カ) 解雇について、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱をしてはならない。(男女雇用機会均等法8条1項)
(キ) 女性が婚姻し、妊娠し、出産し、又は労働基準法65条の産前産後の休業をしたことを理由として解雇してはならない。(男女雇用機会均等法8条3項)
(ク) 育児、介護休業の申出をしたこと、育児、介護休業をしたことを理由とする解雇はできない。(育児介護休業法10条、16条)
<解雇予告義務>
使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。
30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。(労働基準法20条1項)
この予告日数は、1日について平均賃金を支払った場合は、その日数を短縮できる。(同条2項)
予告手当の支払時期は、予告時である。予告手当を次の賃金支払日に支払おうとする扱いは違法である。
なお、平均賃金とは、算定しなければならない事由の発生した日以前3ヶ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額(ただし、臨時に支払われた賃金及び3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金=夏、冬の2回に分けて支給する賞与等は賃金の総額に算定しない)を、その期間の総日数除した金額をいう。(労働基準法12条1項本文、4項)
【例外】
@. 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
A. 労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、解雇予告または予告手当支払は要しないが(労働基準法20条1項但書)、その場合は行政官庁(労働基準監督署長)の認定を受けなければならない。(同条3項)
※ 解雇予告義務規定は、以下の労働者には適用がない。(労働基準法21条)
@. 日々雇い入れられる者(1ヶ月を超えて引き続き使用されている場合を除く)
A. 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定期間を超えて引き続き使用されている場合を除く)
B. 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者(所定期間を超えて引き続き使用されている場合を除く)
C. 試用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されている場合を除く)
<もしも解雇と言われたら>
@ 解雇(労働者の承諾を前提としない)なのか、合意解約の申込みなのか。
もし、合意解約の申込みであるならば、辞表を出してしまうと解雇では争えなくなるので注意する必要がある。
A 使用者は、労働者の求めがあった場合、退職の事由を記載した証明書を交付すべきものとされ、解雇の場合には解雇事由をも記載しなければならない。(労働基準法22条1項)
使用者は、労働者よりこの求めがあった場合には遅滞なく解雇理由を記載した証明書を交付しなければならない。(22条2項)
この解雇理由は、「就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係」を具体的に記載しなければならない。
したがって、解雇と言われたら、会社側に対し「解雇証明書」の請求を行う。
会社側はこれを拒むことができないので、もし出さないと言われたら、「解雇証明書」の請求の意思表示を証拠として残すために内容証明郵便にて再度行う。
B 退職を前提とした行動をとらず、就労の意思を明らかにする。
@. 異議なく退職金を受領して他に就職し、かつ長期間解雇の効力を争わなかったなどの事情から当該解雇を承認したものと認められる場合は、信義則上解雇が無効であることを主張しえなくなる。
※ 離職票の受領、健康保険証の返却は、解雇承諾の意思表示とはならない。
<重要>
解雇の効力を争う場合には、内容証明郵便で解雇後も就労の意思を明らかにしておくべきである。
A. 使用者が労働者の銀行口座等に解雇予告手当、退職金を振込んできた場合は、これを返還、供託するか、労働者において預かり保管し、以降発生する賃金の一部に順次充当する旨の意思表示をしておくべきである。
<重要>
この場合においても証拠を残す観点から、内容証明郵便で行うべきである。
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整理解雇を行う場合には、以下の4つの要件をみたさないと解雇権濫用として無効である。
4.整理解雇
<4要件>
T. 人員削減の必要性
U. 解雇回避の努力
V. 人選の合理性
W. 説明協議義務
【第1要件】 人員削減の必要性が存在すること
@. 人員削減措置が企業経営上の十分な必要性に基づいていること、ないしはやむを得ない措置と認められることである。
A. 必要性の程度
判例は、以下の通り分かれている。
a. 人員削減をしなければ企業が倒産必至または近い将来の倒産が予見される状態にあることまで要する。
b. 客観的に高度な経営危機から人員削減措置が要請されることを要する。
c. 企業の合理的運営上の必要性があれば足りる。
d. 業務の廃止による組織変更のため、ポストがなくなった者がいればよいとする。
【第2要件】 解雇を回避するための努力が尽くされていること
@. 使用者は、経費削減(役員報酬を含む)、新規採用の停止、労働時間短縮や賃金カット、配転、出向、一時帰休、希望退職者募集など他の雇用調整手段によって解雇回避の努力をする信義則上の義務を負う。
A. 希望退職者募集
希望退職者募集をせずにいきなり指名解雇した場合、解雇回避努力義務を尽くしていないと判断されることが多い。
【第3要件】 解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること
@. 被解雇者の選定は、客観的に合理的な選定基準を事前に設定し、公正に適用しなければならない。
A. 具体的な人選基準
選定基準には、
a. 勤務成績や能力等の労働力評価を基準とするもの
b. 勤続年数などの企業貢献度を基準とするもの
c. 年齢を基準とするもの
d. 労働者の再就職可能性や家計への打撃など労働者の生活評価を基準とするもの
e. 労働者の雇用形態を基準とするもの
等、それが合理的な基準か否かは、事案の具体的事情に応じて個別に判断する。
【第4要件】 事前に、説明、協議義務を尽くしたこと
@. 使用者は、労働組合や労働者に対して、整理解雇の必要性とその内容(時期、規模、方法)について納得をえるために説明を行い、誠意をもって協議すべき信義則上の義務を負う。
A. 労働協約上、整理解雇について、使用者に労働組合との協議を義務付ける条項がある場合は、十分な協議を経ない整理解雇は、協約違反として無効となるが、このような協約がない場合でも、信義則上の義務は尽くされなければならない。
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懲戒解雇が有効となるためには、
5.懲戒解雇
T. 懲戒事由および懲戒の種類が就業規則に明定され、周知されていること
U. 規定の内容が合理的であること
V. 規定に該当する懲戒事由があること
W. その他の要件(罪刑法定主義類似の原則、平等取扱の原則、相当性の原則、適正手続)を備えていることが必要であり、これらのいずれかを欠く懲戒解雇は、懲戒権濫用として無効である。
<重要>
懲戒解雇であっても、30日前に予告しない場合は解雇予告手当支払義務が発生し(労働基準法20条1項)、使用者がこれを免れるには、労働基準監督署長の認定を受けなければならない。(同条1項但書、3項)
@. 懲戒事由等を明定する合理的な規定の存在
a. 懲戒事由及び懲戒の種類が明定されていること
懲戒事由、懲戒の種類が就業規則等に規定され(労働基準法89条9号)、労働契約の内容になっていることが必要である。
これらの規定は、限定列挙と解されている。
b. 就業規則(懲戒規定)が労働者に周知されていること
c. 規定の内容が合理的であること
労働者は労働契約の目的上必要かつ合理的な限度で企業秩序に服するのであるから、懲戒規定は、企業の円滑な運営上必要かつ合理的なものでなければならない。
A. 規定に該当する懲戒事由があること
就業規則に規定された懲戒事由に該当する事実の存在が必要である。
この事実は、懲戒処分がなされる時点で使用者が認識していたものに限られ、懲戒処分後に発覚、認識した事実をもって懲戒処分の有効性を基礎づけることはできない。
B. その他の懲戒処分の有効性
懲戒処分は、労働者に労働関係上の重大な不利益を与える処分であるので、労働者保護の観点から、学説、裁判例上、以下のような要件が設定されており、これを欠く懲戒処分は、懲戒権濫用として無効となる。
a. 罪刑法定主義類似の原則
当該行為が行われた後に制定された就業規則の懲戒事由に基づき、懲戒処分をすることは許されない。(不遡及の原則)
また、過去に既に懲戒処分の対象とされた事由に関して、重ねて懲戒処分することは許されない。(一事不再理の原則)
b. 平等な取扱であること
同じ規定に同じ程度に違反した場合は、これに対する懲戒処分も同種、同程度であることを要する。
また、従来黙認してきた行為に対し処分を行うためには、事前の十分な警告を要する。
c. 処分の重さが相当であること
懲戒処分の重さは、規律違反の種類、程度その他の事情に照らして相当なものでなければならない。
懲戒処分の場合は、当該服務規律違反が、制裁として労働契約関係から排除することを正当化できる程度のものでなければならない。
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雇止めとは、期間を定めた労働契約(契約社員等)の期間満了に際し、使用者が契約の更新を拒絶することをいう。
6.雇止め
期間満了に際して、更新拒絶(雇止め)がなされる場合でも、過去に契約が反復更新されるなど一定の要件を充たす場合には、解雇権濫用の法理が類推適用され、雇止めが無効とされることがある。
雇止めの有効性判断は、
T. 雇用の臨時性、常習性
U. 更新の回数
V. 雇用の通算期間
W. 契約期間管理の状況
X. 雇用継続の期待をもたせる言動、制度の有無
Y. 労働者の継続雇用に対する期待の相当性
等の諸要素によって判断される。
<黙示の更新>
契約期間満了後、契約更新がないまま引続き労働関係が継続し、使用者から異議もなかった場合には、民法第629条1項に基づき、黙示の更新により期間の定めのない契約(賃金等労働条件は前の契約と同じ)として労働関係が存続する。
<反復更新後の雇止めに対する制限>
@. 実質において期間の定めのない契約と異ならない状態の場合
裁判例では、期間を定めた労働契約でも、「実質において期間の定めのない労働契約と異ならない状態で存在し、雇止めの効力を判断するにあたっては、解雇に関する法理を類推すべき場合がある」とされている。
【重要判例】
東芝柳町工場事件 (最高裁判決 昭和49.7.22)
使用者会社の従業員は、正規従業員(本工)の他に、基幹作業に従事する基幹臨時工、付属作業を行うその他の臨時工とに分かれていたが、2ヶ月の労働契約を反復更新していた基幹臨時工が雇止めされた事案。
判決は、
a. 従事する仕事の種類、内容の点において本工と差異がないこと
b. 基幹臨時工の数が景気変動と関係なく増加の一途をたどり、総工員数の平均30%を占めていたこと
c. 基幹臨時工が2ヶ月の期間満了で雇止めされた事例がなく、自ら希望して退職する者の外、そのほとんどが長期間にわたって雇用継続されていること
d. 臨時従業員就業規則の年次有給休暇の規定が1年以上の雇用を予定していること
e. 労働契約書には期間2ヶ月と記載してあるものの、採用に際して、会社側に長期継続雇用、本工への登用を期待させる言動があり、労働者側も継続雇用されるものと信じて契約書を取り交わしていること
f. 5回ないし23回にわたって契約更新されているが、会社は必ずしも契約期間満了の都度、直ちに新契約締結の手続をとっていたわけではないことなどの事実を認定し、本件各労働契約においては、会社としても景気変動等の原因による労働力の過剰状態を生じない限り契約が継続することを予定していたものであって、実質において、当事者双方とも、期間は一応2ヶ月と定められてはいるが、いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であったものと解するのが相当であり、したがって本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件雇止めの意思表示は契約を終了させる趣旨のもとにされたものであるから、実質において解雇の意思表示にあたる
・・・そうである以上、本件雇止めの効力の判断にあたっては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理を類推すべきである。
A. 雇用契約の継続が期待され、実際に更新が重ねられてきた場合
裁判例では、「雇用契約の継続が期待されており、実際に更新が重ねられてきた場合には、雇止めにあたっては、解雇に関する法理が類推適用されるとし、ただ、その判断基準は、期間の定めのない労働契約を締結している者を解雇する場合とでは、自ずから合理的差異がある」とされている。
【重要判例】
日立メディコ事件(東京高裁判決昭和55.12.16)
雇用期間を当初20日と定めて臨時工として雇用された労働者が、その後、期間2ヶ月の労働契約を5回にわたり更新してきたところ、不況にともなう人員整理のために、1工場の臨時工を全員雇止めする措置がとられ、その効果が争われた事案。
正規従業員(正社員)に対する希望退職者募集は行われなかったが、不況による雇用調整の一環として臨時工を雇止めする場合、正社員に対する希望退職者の募集の後にこれを行うべきかが問題となった。
高裁判決は、「労働関係全体が期間の定めのない契約が存在する場合と同視すべき関係であるということはできない。しかしながら、他方柏工場の臨時員は季節的労働とか特定物の製作とか臨時的作業のために雇用されるものではなく、従事する作業もそのようなものではなかったこと、また右臨時員の雇用関係はある程度の継続が期待されており、現に被控訴人と控訴人との間においても5回にわたり契約が更新されていることも前示のとおりであるから、このような労働者を期間満了によって雇止めにするにあたっては、解雇に関する法理が類推され、解雇であれば解雇権濫用、信義則違反又は不当労働行為などに該当し、解雇無効とされるような事実関係の下に、使用者が新契約を締結しなかったとするならば、期間満了後における使用者と労働者の法律関係は従前の労働契約関係が更新されたのと同様の法律関係となるものと解せられる」とした。
しかし、雇止めの効力を判断すべき基準は、終身雇用下のいわゆる本工を解雇する場合とはおのずから合理的差異があるとし、本件では、独立採算の工場の人員を削減する必要があり余剰人員を他の部門へ配置転換する余地もない場合に、臨時員の全員の雇止めに先立って期間の定めなく雇用されている従業員につき希望退職者募集の方法をとらず、まず臨時員の雇止めが行われてもやむを得ないとした。
最高裁判決昭和61.12.4は、この高裁判決を維持した。
※ 前記東芝柳町工場事件最高裁判決と日立メディコ事件最高裁判決とが、異なった構成、結果となったのは、両社の事案の相違、即ち
a. 従事していた仕事の種類や内容
b. 雇止めの実態
c. 更新手続が厳格に行われていたか
等の違いによるものと解されている。
a
b
c
東芝柳町工場事件
異
景気関係なく増加
ルーズ
日立メディコ事件
異
景気関係していた
厳格
以上のように、労働に関する問題は、
@ 未払い賃金
A 解雇
の2通りが大半を占めており、内容証明等を活用して証拠を残すことにつきます。
また、労働賃金債権の時効は2年と短く、早急に対処していく必要があります。
これらを踏まえ、このような事態になってしまったら、早急に御相談下さい。
親切、丁寧に、わかりやすくご対応させて頂きます。
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